Alpacaとの連携で、機関投資家レベルのトークン化米国株式を世界中の投資家に提供
米国株式市場は約70兆ドル規模を誇る世界最大級の市場ですが、海外投資家にとってそのアクセスはいまだ容易なものではありません(*1)。従来の金融市場を支える基幹インフラは、依然として複数のシステムや事業者に分かれており、十分に統合されていません。この分断を一因とする高額な手数料、決済の遅延、透明性や相互運用性の低さなどが、米国株式やETFへの投資機会を制限しています(*2)。
こうした従来型金融が抱える構造的な課題への解決策として、トークン化株式やETFへの需要が急速に高まっています(*3)。2026年7月時点で、トークン化米国株式の預かり資産総額(Total Value Locked、以下「TVL」)は20億ドルに迫る規模まで拡大しており、世界中の投資家が、高品質な金融商品へアクセスする方法が大きく変わり始めていることを示しています(*4)。
そこで今回、アルパカはOndo FinanceのCEOであるIan De Bode氏にインタビューを行い、Ondo Stocksがどのように米国株式をオンチェーン化し、こうした構造的課題の解決に取り組んでいるのかについて話を聞きました。
Ondo Finance設立の背景と、分断された流動性という課題
Ondo Financeは、Nathan Allman氏によって2021年に設立されたブロックチェーン金融テクノロジー企業です。米国株式を含む実世界資産(Real World Assets)のトークン化を通じて、従来の金融システムが抱える課題の解決を目指しています。
同社が着目したのは、「現在の金融市場が抱える問題はユーザー体験ではなく、市場インフラそのものにある」という考え方でした。
Ondo FinanceのCEOであるIan De Bode氏は、次のように述べています。「Ondoでは、ブロックチェーン技術によって既存インフラの課題を解決し、世界最大の金融市場をオンチェーンへと移行させる、機関投資家レベルのインフラを構築できると考えています。TradFi(伝統的金融)とDeFi(分散型金融)の強みを組み合わせることで、金融システムはより公平で、より迅速で、より多くの人が利用できるものになるでしょう。」
トークン化米国株式市場は急速に成長していますが、多くのトークン化プラットフォームで、依然として従来市場と同等の流動性を実現できていません。その背景には、多くのサービスが事前に資産を積み上げた流動性プールに依存していることがあります(*5)。その結果、流動性が限定され、大口取引では価格が大きく変動し、スリッページが発生しやすくなるほか、オンチェーン市場における担保資産としても十分に機能しにくいという課題があります。
De Bode氏は、この問題は市場インフラに起因するものだと説明します。「トークン化株式のプラットフォームを構築することと、従来市場と同等の取引品質を実現することは、まったく別の課題です。」
従来市場とオンチェーン市場をつなぐ仕組み
Ondoは、この課題を解決するため、人工的なオンチェーン流動性プールではなく、NYSEやNASDAQなど従来の証券取引所が持つ流動性を直接活用できる仕組みを採用しました。その中核となるのが、アルパカのBroker APIを活用して構築された「Ondo Stocks」です。
Ondo Stocksでは、それぞれのトークン化株式が、従来市場の取引所へ直接接続されているため、既存市場が持つ豊富な流動性をそのまま利用できます。一般的な流動性プール型モデルでは、人気銘柄が増えるにつれて流動性が分散してしまいます。一方、Ondo Stocksの「ジャストインタイム流動性モデル」では、そのような制約がありません。
各トークン化株式は裏付けとなる取引所の流動性へ直接アクセスすることで、高い約定品質を維持しながら市場規模を拡大できるよう設計されています。この仕組みにより、大口取引でもスリッページを5ベーシスポイント未満に抑えた取引を実現しています。
Ondo Stocksのサービス概要と特徴
現在、Ondo Stocksでは以下のようなサービスを提供しています。
- トークン化された個別株、ETF、コモディティ連動商品など、430銘柄以上の米国株式・ETFへアクセス可能
- 市場取引時間中は、すべての銘柄について24時間週5日の取引と即時の発行・償還に対応。主要銘柄については24時間365日の発行・償還も可能
- 対応地域では、ウォレット間での24時間365日のピア・ツー・ピア送金
- 従来の証券取引所と同等の流動性へのアクセスを実現し、スリッページを抑えた効率的な取引環境を提供
この仕組みは、Ondo Stocksの成長にも表れています。2025年9月以降、Ondo Stocksはトークン化米国株式市場全体のTVLの約70%を占め、世界最大級のトークン化株式プラットフォームの一つとなっています。下記の通り市場の需要を反映して成長を遂げています。
- 累計保有者数13万8,000人超
- 累計取引額210億ドル超
- トークン化米国株式のTVLは20億ドルに迫り、トークン化米国債商品「USDY」と合わせたTVLは30億ドル超(*6)
- トークン化株式プラットフォームとしてTVL10億ドルを突破したのはOndoが初めて
70兆ドル規模の米国株式市場を背景に、トークン化株式の基盤はようやく整い始めたばかりであり、市場は今後さらに拡大していくことが期待されています。
アルパカ共同創業者兼CEOの横川毅は、次のように述べています。「私たちは、Ondo Stocksに証券インフラを提供できることを大変嬉しく思います。同社の成長は、Ondo Stocksが構築してきたプラットフォームの価値と、トークン化米国株式に対する需要の高まりを示しています。私たちが目指すのは、あらゆる資産をトークン化し、機関投資家レベルの効率性を維持したままオンチェーンで利用できる、真にオープンでグローバルな金融サービスです。Ondo Stocksのグローバル展開が進む中、その実現に向けて引き続き連携していけることを楽しみにしています。」
今後の展望:オンチェーン・プライムブローカレッジの実現に向けて
Ondoは現在も、資本効率の向上と投資家の選択肢拡大に向けて、サービスの拡充を進めています。
その一例が、最近提供を開始した「Ondo Perps」です。このサービスでは、Ondo Stocksを株式パーペチュアル取引の担保として利用できます。Ondo Stocksが従来の証券取引所の流動性を活用することで、高い流動性を備えたパーペチュアル市場の実現を目指しています。
また、Ondo Stocksはグローバル展開と規制対応も進めています。
米国では、デジタルアセット分野において、SEC登録のTransfer Agent(名義書換機関)、投資顧問業者、代替取引システム(ATS)機能を備えた証券会社など、幅広い規制ライセンスを保有しています。トークン化証券市場の成長を支えるため、SECへ登録届出書を提出し、機関投資家レベルの安全性、信頼性、コンプライアンス基準を満たす体制の整備を進めています。
さらに欧州では、有価証券目論見書に関する規制承認を取得し、30の欧州市場、5億人を超える投資家に対して、Ondoのトークン化株式・ETFを提供できるようになりました。また、アブダビの国際金融センター(Abu Dhabi Global Market)の枠組みにおいて、Ondo Stocksは暗号資産取引所のBinanceで取引可能となった初の株式トークンにもなっています。
アルパカとOndoは今後も連携を深めながら、あらゆる資産を機関投資家レベルの品質と効率性を維持したままオンチェーンで活用できる金融市場の実現を目指していきます。
アルパカについて
アルパカは、米国や日本など複数国で証券会社登録を有し、株式、ETF、債券、オプション、暗号資産の取引のための証券基盤を開発提供するフィンテック企業です。世界40カ国・300社以上の金融機関にサービスを提供し、1,200万以上の証券口座を支えています。アルパカはこれまでに、世界の業界トップクラスの投資家から、3.2億ドル(約490億円)の資金を調達しています。
テクノロジーと関連するサービスは AlpacaDB, Inc.( https://alpaca.markets/ )、米国の証券取引サービスはFINRA/SIPC会員のAlpaca Securities LLC、日本国内の証券取引サービスは、第一種金融商品取引業と投資助言・代理業の登録を受けているAlpacaJapan株式会社( 関東財務局長(金商)第3024号、加入協会: 日本証券業協会/一般社団法人資産運用業協会、https://alpaca.markets/jp/ )が提供しています。なお、日本法人であるAlpacaJapan株式会社では、暗号資産およびトークン化証券の取り扱いはありません。
(*1) 15+ Stock Market Statistics for 2026 | Fortunly
(*2) Wall Street 2.0_ Towards the Open Economy _ Ondo Finance.pdf
(*4) RWA.xyz | Tokenized Stocks
(*5) Asset Tokenization in Financial Markets: The Next Generation of Value Exchange P 39
(*6) Ondo Finance